子育て本紹介 ~ダイヤモンド社の子育て本の比較~

ダイヤモンド社の子育て本の比較

『最高の子育てベスト55』トレーシー・カチロー

・いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる

・IQが上がり、心と体が強くなるすごい方法

・こどものために親がしてあげるべきこと全部

・脳科学から心理学、教育学まで最新リサーチを網羅!

・子どもの頭をよくし、潜在能力を引き出す最も信頼できる方法!

・「最高の子育てがしたい」と思っている親は10割。でも、そのための「知識」がある人は1割!

 

というフレーズが表紙や帯に所狭しと並んでいる。

著者のトレーシー・カチロー氏はジャーナリスト、編集者。子育て中の親や教師向けに講演を行っている人物であり、ワシントンポスト紙などの子育て記事で高い評価を受けているそう。

そして、子どもの脳の発達に関する本『ブレイン・ルールズ・フォー・ベビー』を編集した経験から、赤ちゃんを育てるにあたっての即戦力になる本として、本書を出版している。

実験・研究データに基づいた質のいい情報がせいりされている本であるが、著者は偏りもあり全ての子どもに当てはまるのは稀だと言っている。

著者の考えとして、子育てで大切なことは

・一緒にいるときたっぷりかまってあげる。
・たくさん話しかける。
・きっぱり、かつ温かくしつける。
・たくさん抱きしめる。
・たくさんの睡眠を取らせる。

 

としている。

確かにここに全てが集約されているように思えるが、本書の特徴と役立った情報を下記に紹介する。

本書は子育て本の中でも特に「赤ちゃん」に効果的な情報を集めている。

いろいろな子育て関係の本に「語りかけ」の大切さは述べられているが、より具体的に書かれていた部分を紹介。

 

☆3歳までに聞く「単語数」が語彙力を決める
(4歳では手遅れという情報)
様々な角度から「会話の質」を研究した結果、親が専門職の家庭の子どもは4歳までに「4800万語」の語りかけを受けている。

つまり、毎日「2万1000語」を聞かせるといいらしい。

1時間当たりに換算すると、2100語となり、(赤ちゃんが起きている間は)1時間に15分間おしゃべりする程度の分量となる。

【感想】
目新しいことは無い(当たり前と思えることや他の本で読んだことのある内容が多い)けど、ひとつひとつの事柄には納得できる。再確認する意味では納得して読めたし、普段の生活の子どもとの関わり方に意味を見出せるから、子育てのモチベーションアップに繋がる。

バイリンガル教育については、専門家にお任せというスタンスで、7歳までに環境を整えれば習得できるという。CDの聞き流しとかあまり意味無いとのこと。

 

 

『世界標準の子育て』船津徹

 

・世界中の子育てを体系化したノウハウ
・勉強ができて人に好かれて心の強い子が育つ
・ハーバードでも通用する子どもの3つの資質
・北欧の子育てが世界一うまくいっている理由
・アジア圏の子育てに共通する落とし穴
・子育てには、「正解」があります。

 

著者の船津徹氏は、幼児教育の権威である七田眞氏に師事、英語教材の制作を行う。

その後、独立しハワイにオリジナルのスクールを開校し、卒業生4000人を排出している。独自開発した教材もアメリカで高い評価を受けている。

 

【感想】
こちらは「子ども」を広く捉え、0歳から16歳以上(高校生くらい)を対象にして項目立てて書かれている。本書で述べられていることはほとんどベビーパークで言われていることと同じである。この本の通りに実行すれば、ほぼベビーパークと同じ効果があると思った。

気になったのは、七田であれだけ重要視している「フラッシュカード」について何も触れられていないこと。

ベビーパークでは脳の処理スピードを速くすると言われているけど、科学的な証拠は無いのかもしれない。

そして、『最高の子育て』にも読み聞かせの重要性は述べられているが、フラッシュカードについては記載がない。

と思ったけど、船津徹氏のブログには「フラッシュカード」の教育法が述べられているので、やはり効果はあるらしい。

私としては、こちらの本の方が目新しさがあり、斬新な切り口で面白かった。著者の経験がものを言っている感じだからかも。

本とは少し離れるけど、船津徹氏のブログと運営しているTLFforkindsについて調べてみた。

ハワイや上海に学校があり、バイリンガル教育を目指す子どもが通うらしい。海外に住む日本人の子どもの教育をサポートするねらいがある。

これは海外に住んでいることが前提だけど、船津氏が開発した「パルキッズ」という通信教材でもバイリンガル教育が可能らしい。

内容を見るとやはり七田のメソッドが伺えるが、もっと丁寧なプログラムになっている。

『世界標準の子育て』を執筆した背景には、スクールの運営で携わった経験が大きく反映されている。

日本を知って、海外で経験が長い教育教材のプロだからこそ書ける本だと思う。

船津氏の子どもは日本語、英語、中国語のトリリンガルらしいので、やはり育て方に「正解」があるのだと確信した。

少なくとも船津氏はバイリンガル教育や英語教育などの語学教育に長けているので、そういう視点から本書を読むとさらに深まると思う。

世界と日本がどう違うのかという点から子育て環境を見直すことがグローバル的な視点をもつ教育の第一歩だろう。

やはり、日本には日本の文化や風習があるので、本当に「世界で」活躍するには親の見識が深く、意識と覚悟をもって教育に関わるべきだろう。

佐藤亮子ママが述べた母親の心得に「自分の読書は家事よりも優先させる」と言っていたのが思い出された。

この先、どんどん時代は変わるしそれに伴って教育も変わる。

育ての親(多くの場合、母親)がしっかりと先の時代を見据えて学び続けることが大切だと実感した。

また、本書には付録として「子育てに関するQ&A」を掲載しているので、著者の経験から述べられたアドバイスが参考になるだろう。

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