教育本コラム『賢い子どもは「家」が違う!』

『賢い子どもは「家」が違う!』  松永暢史

10歳までの「教育環境」で自分からやる子に育つ。

本書の特徴は

家具、おもちゃ、本の選び方や配置を変えるだけの子どもが賢くなる空間づくりを伝えるため、写真や絵なども掲載している。

 

目次(一部抜粋)

「自分でやる子」は幼少期の環境で決まる
・「自分でやる子」はすべての親の願い
・「のびのび」と「放っておく」は違う
・「のびのび育てる」には、環境が重要

「自主性」だけを重視すると子どもがダメになる
・「自主性に任せて」で、大丈夫?
・「自分でやる子」は親が導く

環境を整えたら子ども自身に決めさせる
・「手取り足取り」の落とし穴
・「自分で考え、決める」ということ

「自分で考えて動ける子」は家庭で生まれる
・「自分で」の力を身につける
・主体性を磨くのは、家庭しかない

賢い子どもは「賢くなる家」に住んでいる

「教育環境設定」で賢い子に育つ
・勉強ができる子どもは「家」が違う!

家族が集まる場所を賢くなる空間に
・テレビが子どもの積極性を奪う
・テレビをリビングから撤去する
・リビングの本棚で子どもに調べる習慣がつく

食事をする場が人間力を高める
・テーブルの上に余分なものを置かない

子どもが部屋を持つには"適齢期"がある
・10歳になったら自分の部屋を
・思春期まではオープンな子ども部屋に

勉強机はサイズがポイント
・幅広の作業机が、子どもの好奇心を高める

好奇心がどんどん高まる「本選び」
良質な本を読むことが、自分で考える力を育む
・読み継がれてきた古典にこそ価値がある
・昔ばなしは「音」にも優れている

本=勉強にすると子どもが本嫌いになる
・本棚を見れば、家庭がわかる

「勉強」が始まる前の準備となる名作全集と資料集
・良質な本をさりげなく用意しておく
・好奇心を刺激する、資料集

子どもの力を伸ばす「遊び」

やる気を伸ばすのは「家族の力」

 

【本書のポイントと参考になった部分】

著者の松永暢史氏は教育環境設定コンサルタントと名乗り、「受験のプロ」として主に学習法の開発や、著作をメインとして活動している。

他の著書を見るとどうやら「音読」の勉強法などを重点的に扱っているので、「国語」や本を活用した教育を得意としているらしい。

本書で参考になったのはやはり前半の子どもの学習スペースの確保とおすすめの本の紹介だ。

後半は、幼児期からの年齢に応じたおもちゃやボードゲームを紹介している。家族についても書かれているが、「夫婦の仲が良いことが大切」ということがわかった。

家の環境設定としては、家族(親)が子どもに自然と良質な本を手に取りやすい位置に置いてやることが大切だとわかった。

良質な本として薦めているのが、古典や名作、資料集だ。著者が対象としている子どもは小学生(1〜4年生)くらいを想定していそうだ。

絵本の紹介や読み聞かせ等についても書かれていない。

おもちゃの紹介では、1、2歳向けのおもちゃから小学生向きのものまで年齢別に紹介している。

特に著者が賢い子どもが育つ家としているのが、「テレビを付けっぱなしにしないで、本を読む子を育てる家」であり、「家族団欒の時間は頭を使ったカードゲームやボードゲームで遊ぶ」ことを薦めている。

著者は大学生の頃から家庭教師をしており、本人がこれまで関わってきた子どもたちの家庭環境を元に本書を書いているので、科学的な根拠などはないが、ある程度の説得力はある。

当たり前といえばそうだが、どんな家族でもすぐに始められそうな「環境設定」なので、これから子どもに「自分から本を手に取る子ども」に育ってほしいと思う親には参考になりそうな本である。

また、関連図書で下記の本も参考になりそうなので、あらすじと感想を記載する。

『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』    松永暢史

本書のシリーズとして『女の子を伸ばす母親は、ここが違う!』も出版されている。

3章に別れており、「学ばせる」「躾ける」「はぐくむ」で構成されている。

著者の独特なものの見方と語り口が面白く、「男の子」との関わりがあまりない私には新鮮で面白かった。

男の子を育てる上での40のポイントを紹介している。

やはり、著者が学力のベースと捉えているのが「国語力」だ。

その中でも「正しい音読」を大切にしている。また、子どもが自分自身で資料を使って調べることで学力が向上するという。

「躾ける」編では特に"男の子"の育て方について書いており、"女の子"への接し方との違いがわかる。

「はぐくむ」では、将来的なことも見越した上での"男の子"の育て方について書いている。

【感想】
姉妹で育った私には、男の子の母親として参考になる部分があった。女の子は比較的「言われたことをコツコツ進める」が、男の子は突拍子もないことが起こるという覚悟ができた。

そして、母親の思い通りにいかないこともたくさん起こり得る。男の子にはいろいろな体験をさせ、体感させることで力が伸びるらしい。

男の子は母親と異性であるために、"男の子"の特性を見逃して育てないように、あえて「母親」に向けて書かれているようだ。

特に、男の子の人間関係の作り方や生き方は女の子と異なる特徴をもつ。

男の子は仲間や趣味を大切にする傾向をもち、女の子よりもエネルギー(本書では"オチンチン力"と呼んでいる)がある。

本書は幼児期のみならず、思春期〜青年期までの男の子を育てる母親に参考になりそうだ。

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